episode 3.安倍晴明(攻)✖️ 蘆屋道満(受)

「そこにいるのは分かっておる、道満」

 晴明が杯を差し出すと、蜜虫みつむしがそれを酒で満たす。

「お主はいつも神出鬼没だのう」


「貴様に言われたくないわ!」

 道満は、屋根から音もなく飛び降りた。


 ここは、晴明の屋敷。彼はいつものように縁側で酒を飲んでいた。


「鮎の匂いに誘われて来たのか?」

「‥‥ま、それもある」


 道満は、勝手に上がり込み、手酌で杯を満たす。杯は何故か初めからもう一つあった。

「今宵は奴の笛のが聞こえなかったから」


博雅ひろまさのことか?」

「ああ、そんな名前だったな」

 道満は顔を背けて、酒をあおった。


「妬けるか?」

「‥‥‥」

「あいつはいいおとこだ」


「俺よりもか!」

 晴明、応えろ!そう云って道満は晴明を押し倒す。



 蜜虫は、主人あるじの命令を待った。式神は主人の命令なしには動くことができない。


「蜜虫、下がれ」

 晴明は、道満の背中に手を回しながら蜜虫に命じた。

「御意」

 そう云って蜜虫は姿を消した。



 二人の時が過ぎる。



「博雅も抱いたのか、晴明」

 しとねの中、道満は晴明の腕の中で問うた。


「いや、博雅は友だ、お主とは違う」

「俺はお前の何だ」


「永遠の宿敵」

 永遠の、だ。そう云いながら半身を起こして、晴明は道満に再び身体を重ねる。

「私よりも先に逝くな」


「晴明‥‥‥」



 ※真面目に書いちゃった。オチは無し!しいて言えば、イクと逝くをかけたくらいかな。

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