第2話「ブリキの戦車」
そんなこともすっかり忘れたある日・・・
私はブリキの戦車を手にして忠行君と近所の公園で遊ぶことにしました。ゼンマイ仕掛けの戦車を滑り台の上から勢いをつけて走らせる、といういつもの遊びです。毎日なので少し飽きていた私は、もっと他の遊びがないかと考えながら忠行君と歩いていました。
すると忠行君が突然指差し叫びました。
「あんなとこに池がある!」
住宅街の裏道にマンホールがあり、誰がその蓋を外したのか水が溢れ出し道路を濡らしています。
周りを見渡すと誰もいません。
私たちは公園に行くのをやめてその水で遊ぶことにしました。
私は戦車のゼンマイを回して水に浮かべました。まるで船のように進んでいきます。
「すごいね!」と忠行君が喜んでいます。公園の滑り台で遊ぶよりもスリリングで楽しく我を忘れて遊んでいました。
三回目に戦車を浮かべた時です。突然ブクブクと音を鳴らし沈んでいきました。
「あっ!」と戦車に手を伸ばしましたが届きません
大切なおもちゃです。これがないと明日から遊ぶことが出来なくなります。
マンホールの中に梯子があるのを見つけた私は、「中に入って取ってくる」と忠行君に言って水の中に入りました。
「危ないよ。誰か大人に取ってもらおうよ」
心配そうな顔で忠行君が言いました。
しかしマンホールの中に入れば取れそうな気がした私は、冷たい水の中を一歩ずつ梯子を下りました。
一歩、また一歩・・・全身が水の中で顔だけが出ている状態です。
マンホールの中が予想以上に深いことにやっと気が付きました。
諦めて外に出ようとしたその時です。
掛けていた足が滑り手が梯子から離れてしまいました!
顔が水につかりブクブクと身体が沈んでいきます・・・
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