第14話
【王視点】
皆といつものように会議を始めると大臣がすぐさま話を始めた。
「王のおっしゃる通りになりました」
「何だ?」
「ナリユキ殿が倒れました」
「何と!」
「騎士の力を引き上げる為対戦訓練を続け、スタミナポーションを飲み続けました。更にナイツを強化する為知恵を絞りました。騎士の士気は上がり、錬金術師も希望を持って仕事をしております、ですがその代償は大きかったようですな」
恐れていた事が起きたか。
妖精殿から聞いた所ナリユキ殿はまだ15才、そして学生だと言う。
平和な地から転生し心をすり減らしていたのだろう。
「私の失敗だ。私がもっと皆に希望を見せる事が出来ていればこうはならなかった」
「いえ、我らの力不足でした」
「ナリユキ殿は心をすり減らしている、人のぬくもりが必要なのだ」
「よろしいでしょうか?」
女性の文官が手を挙げた。
「うむ」
「ナリユキ様はメンテ、サン、スノー、3人に心を開いているようです」
「それは、恋と言う意味でか?」
「恐らくは、ですがピュア様の話によれば向こうの世界ではたとえ同意の上だとしてもベッドの上で行為を共にし、裁判を起こされた場合男性が不利になりたとえ裁判に勝っても社会的に潰されてしまうようです」
「訳が分からん。それでは恋が進まん」
「ええ、ですからそれとなく、気づかれないようにナリユキ殿のハーレムを作るよう動いてみたいと思うのですが」
「すぐに始めるのだ!」
「かしこまりました」
「今すぐに会議室を出て出来る事をするのだ。猶予は無い。報告は後回しでよい。民の希望となりえる私の計画にはナリユキ殿が必要だ!」
「っ! すぐに始めます!」
女性の文官が会議室を出た。
【女性文官視点】
メンテ、サン、スノー、3人から聞き取りをした結果、明らかにサンはナリユキ様に好意がある事が分かった。
メンテは表情が変わらず感情が読み取れない。
スノーは何を考えているのか分からなかった。
そして話をしている内に仕事が始まり会話が中断される。
メンテは錬金術師の中核で暇が出来る見通しは立っていない。
メンテの手を止める事は損失になりかねない。
となればスノーかサンに……
しかし主力の騎士を2人も使うのは……
まずはサンからだ。
サンはウインドイーグルの操縦者ではあるがウインドイーグルの完成は未定。
そしてナイツが減ってナイツの騎士は他の者が務めている。
サン1人なら戦力減少効果は限定的だ。
ナイツが揃う前に事を進める。
すぐにサンの部屋に入る。
そして王の命を伝えた。
「……と言うわけです」
「で、でも、ナリユキさんの部屋に入って私に何もしてくれませんでした」
「把握しました。ピュア様に向こうの世界の現状を聞いています。向こうの世界では……」
向こうの世界で恋愛が危険な事を説明した。
「つまり、手を出さなかったのではなく、手を出せなかったのです」
「そ、そうだったんですね」
「サン、あなたは人に気を使いすぎます。あなたからぐいぐい押しに押すしかないのです。好きなのでしょう。ナリユキ様が」
「は、はい」
「最初から一夜を共にしろとは言いません。最初は、ごにょごにょごにょ」
「そ、そこまでも!」
「サン、あなたなら行けます。もっと自分に自信を持ちなさい、ナリユキ様には人のぬくもりが、精神的な癒しが必要なのです」
「分かりました! 出来る限りの事は、し、シテみます!」
「いい返事です。期待しています」
【ナリユキ視点】
気持ち悪い、まさかエナジーポーションの副作用がこんなにきついなんて。
あんまり飲みすぎると後で大変だとは言われていた。
でも錬金術師のみんなもやってたし、行けるかなあと思っていた。
1日寝込んで前よりは調子が戻って来たけど。
もう少し寝よう。
◇
目が覚めて明かりをつけた。
前より調子が良くなっている。
具合の悪さは無くなったか。
食欲が出てきて食堂に入る。
パンとスープ、豆と少しの肉、シンプルな食事が運ばれてくる。
「メイドさん、ありがとうございます」
「はーい、どういたしまして」
メイドさん、可愛いな。
騎士になって、ハーレムが起きない。
いや、僕が動かないのが悪いんだよね?
うん、分かってる。
待っていて良くなるわけがない。
でも、振られるの、いやだなあ。
隣にサンが座った。
今日もバストが立派だ。
サンも僕と同じ15才らしい。
でも発育が凄い。
ピュアは飛び回りみんなと話を始めた。
自由だな。
「ナリユキさん、調子はどうですか?」
「昨日より、良くなったよ」
サンが僕のおでこに触れる。
その感触が気持ちいい。
サンと、お医者さんごっこしたいわ。
「熱は無いようですね」
「……うん、お風呂に入ってゆっくりしようと思う」
お風呂は広くて貸し切りに出来る。
騎士はビップ対応なのだ。
「は!」
「どうしたの?」
「いえ、何でも……」
サンが僕の手を握った。
「あ、あの、お風呂で、背中を流しましょうか?」
「い、いいの?」
「はい」
一瞬期待したけど背中を流すだけだ。
エロい事は無い。
スライムスーツを着たままなんだろう。
サンは僕がお風呂で倒れないか心配しているんだろうな。
あれ、そう言えば、ピュア、どこ行ったんだろ?
「今すぐお風呂に行きますか?」
「う、うん」
「お風呂の番号だけ教えてください」
「いつもなら4番かな、でも開いていなかったら外で座って待ってるから」
「分かりました。具合が悪ければ運びますよ?」
「そこまでじゃないから、大丈夫」
「分かりました。すぐに食べて向かいますね」
サンの話し方に期待してしまう。
でも、今まで何も無かった。
僕はいつものように4番のお風呂に向かった。
開いていたのでそのまま入る。
スライムスーツを解除してブレスレットを付けたままシャワーで体を流した。
後ろから気配がした。
スライムスーツを着たままのサンが入って来る。
「ナリユキさん。お待たせしました。他には誰もいませんよね?」
「うん。いない」
「良かったです」
サンがスライムスーツを解除した。
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