第25話 誇り

試験的にタイトルをいじっています!

『聖騎士学園の転生半魔神』の部分は変えないと思うので、そこで判別してもらえたら幸いです!

それでは本編どうぞ!

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 「何が起きたの……!?」


 レイダが咄嗟とっさに声を上げる。

 付近で、唐突な爆発が起きたからである。


 リベル・ミリネと班を組むレイダは、人助けをしている最中だった。

 日常に突然の事態が起きれば、次の展開は明白である。


「「「きゃああああああああっ!」」」


 即座に、そこら中から悲鳴が聞こえてきた。

 レイダとミリネは左右に首を振りながら、焦った表情を見せる。


「これは……!」

「ど、どうしたら……!」


 人々は声を上げ、バラバラに動き回る。

 このままでは収拾がつかなくなる。

 そんな時、すぐにリーダーシップを発揮する者がいた。


「落ち着きなさい」

「「……!」」


 リベルだ。

 彼女の王女としての責任感と経験が、ここで活きる。

 リベルはさっと周囲を見渡すと、二人に指示を出す。


「まずは近隣の方の避難を最優先に。全部をやる必要はないわ。できることからやるのよ!」

「え、ええ!」

「わかりました!」


 リベルに従い、三人はまとまって動き始める。

 爆発が聞こえた方面から、人々を遠ざけるように。


「皆さん、落ち着いて東に進んでください!」

「周囲はわたしが見るわ!」

「私は“恵み”を!」


 リベルの指示、レイダの護衛、ミリネの援護。

 それぞれの役割をまっとうし、人々を先導する。

 これでこそ、聖騎士学園の生徒だ。


 ──しかし、相手も性格が悪い。


「偉いねえ、ちびっこちゃん達」

「「「……!」」」


 レイダ達の後方から、声が聞こえる。


「ちょっとおじさん達とも遊ばない?」





 同時刻、聖騎士学園の校門前。


「ヴァリナ教官、さらに二班が帰ってきました!」

「了解!」


 王都の南端に位置するこの場所で、ヴァリナは指揮をっていた。

 ヴァリナが指示したのは一つ。

 近くにいた班は迅速じんそくに帰ってこいということ。


 しかし、状況は決して良くない。


(一体なんだと言うんだ……!)


 他の教員とも連携を取るが、全ての生徒は把握し切れない。

 加えて、ヴァリナは板挟み・・・になっていた。


(優先順位は付けられない……!)


 聖騎士学園の教官として、生徒を守る立場にある。

 だが同時に、いち聖騎士としては人々を守る立場にもあるのだ。

 生徒を帰すばかりでは、救える人々は減ってしまう。


「……っ!」


 いつも余裕を持つヴァリナが、珍しく焦った表情を見せる。

 それほどの緊急事態ということだ。

 彼女自身もここの監督を任され、動く事が出来ない。


 すると、教官の前に一人の少女が立った。


「一つ方法があります、教官」

「お前は……!」


 少女の名は──エリシア・ディヴァリエ。


 美しき銀色の長い髪。

 んだ水色の瞳。

 白色の肌も相まり、透き通るような容姿の少女だ。


 だが、りんとした佇まいは“王家”の風格を持つ。


「私が人々を先導します」

「エリシア……だが!」

「教官はここで生徒を守る務めがあります。では私には、“たみ”を守る務めがあります。私は──」


 エリシアは胸に手を当てる。


この国の王女・・・・・・として」

「……!」


 エリシア・ディヴァリエ。

 彼女は、聖騎士学園が建つ『ディヴァリエ王国』の姫である。


 そして、原作メインヒロインにして、四新星が一人。

 現在は成績“一位”をかんする。


 エリシアの持つ誇りが、彼女を動かす。


「しかし、一人で行くには!」

「心得ています。今の私に出来ることも。ですので、あの者・・・を連れて行きたい」

「……!」


 エリシアはピッと横を指した。

 その方向からは、声が聞こえてくる。


「教官!」

「この人たちを中へ!」


 指した方向から帰ってきたのは、オルトとルクスだ。


 その後方には、王都の人々も見える。

 仕事をしていた近隣の者を避難させて来たのだろう。

 さすがの素晴らしい働きだ。


「少しいいですか」

「「……!」」


 避難民は他の教官に預ける中、エリシアは二人の方に声をかけた。


「もう一度、外に出る力は残っていますか」

「あ、あります!」

「俺も──」

「いえ」


 だがエリシアは、オルトに対しては首を横に振る。


「あなたは単独で行動するのでしょう?」

「!」

「顔に書いてありますよ」

「……っ」


 図星だ。

 オルトはこの後、一人で抜け出してでも行動を取るつもりだった。

 エリシアはお見通しと言わんばかりの目で、もう一方を見る。


「私が連れていくのは、ルクスさんです」

「え、僕を!?」


 ルクスの現成績は、中間より少し下。

 決して良いとは言えない順位である。

 だが、エリシアはルクスを買っているようだ。


「あなたには人を導く力がある」

「……!」

「どうか来てくれませんか」

「はい、全力で!」


 原作主人公らしく、ルクスも人を放っておけない。

 一瞬も迷うことなく、はいと答えてみせた。


「お前達……わかった」


 態勢は決まった。

 ならば、ヴァリナも決断を下す。 


「責任は私が取る。お前らも聖騎士を目指すなら、人々を助けてみせろ!」

「「「はい!」」」





 再び、レイダ達の戦場。


「ちょっとおじさん達とも遊ぼうよ」


 後方から聞こえた声に、レイダ達は振り返る。

 屋根の上に立っていたのは、複数人の男達だ。


「おじさん達──“傭兵”ともさあ」

「傭兵……!」


 傭兵とは、公的立場の聖騎士とは違い、人に直接雇われて戦闘を行う者。


 善にも悪にもなる傭兵だが、彼らの目的は一つ。

 金銭的報酬カネだ。

 つまり、彼らには裏で操る者バックがいる。


「って、それだけじゃないわね」


 リベルは目を細めた。


 中には、ちらほらと見たことのある顔があるのだ。

 その誰もが“悪い話”である。

 おたずね者に手配犯、賞金首なんて者までいるようだ。


 そんな彼らに共通するのは──ただ強い。


「……学生だからってナメられたものね」


 だが、リベルは全くおくしてはいない。

 すると、隣のレイダもふっと笑った。


「珍しく息が合ったわ」

「あら、そうだったかしら」


 二人は、ここでやる気だ。

 ならば、後方のミリネもぐっと力を入れる。


「私も、やれます……!」

「ええ、信じてたわよ!」


 ミリネとレイダ、二人が神力を灯す。

 ミリネには【恵みの杖】。

 レイダには【おう】が宿った。


 そして、リベルも両手を掲げる。


「さあ、いくわよ」


 両手に収まるよう現れるのは、二つの短剣だ。


 全体的には神々こうごうしい白色。

 持ち手には翼を生やし、左右には赤と青のワンポイントの線も入っている。

 その神器の名は──【双翼そうよく烈剣れっけん】。


「ここは行かせない!」


 三人の神器が出そろい、レイダが宣戦布告した。


「聖騎士の“誇り”にかけて……!」

 

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