第4話 解放の手紙
夢から覚めて冷蔵庫に向かうと水を飲み落ち着くことにした。テーブルに置かれた身に覚えのない手紙。凄く気になる。とりあえず開けてみることにした。
ナイフを使って封を切ると中には一枚の紙。そこには文字が書かれていた。
「・・・近日中にあなたは自由になります・・・。本当の意味で・・・?」
それだけだった。
次の日の朝、ミリーの部屋に何人かの役人が現れる。
「どったのあんたたち」
役人、それは国王に仕えていた人たちでもある。城に勤めることが無くなった彼らの多くは市役所とかそいう場所に勤めていた。
「ミリー様、いえ、ミリーさん。お久しぶりです」
「敬称を変えたということはつまりそういうことね」
民主主義とは大抵の場合、多数決の事である。多数決は答えが2つくらい用意されていてそのどっちがいい?というやつ。で、多い方のやつを採用するという仕組みになっているのだけれど、その多数決をこの間の議会で取ったらしい。
「何の多数決?」
「この国に王は要るのか、要らないのかという多数決ですね」
「それで要らないが多数派だったと」
「はい、本日付でミリーさんは王族から一般人に。それも無職の一般人になります」
「・・・無職は余計でしょ」
「間違ってはいないです。間違ったことは嫌いなので」
「そう」
こうしてミリーは無職の一般人に格上げになった。
役人が帰った後、ミリーは2階へ上がると犬と遊んでいたクラッキーに報告することに。
「ミリー様・・・ミリーさん・・・ミリー、無職になったの?」
「呼び捨てでため口とかクラッキーらしい」
「褒めても何も出ません。焼肉パーティーでもしますか?今晩」
パーティーとはお気楽なものであるが、クラッキーが思っていたことはミリーと少しだけ違っていた。
「だって、私と同じになれたってことですからね、もう姫じゃないです。友人です。それを祝っても誰も文句は言わないでしょうが」
「まあ確かに文句は言われないけれど」
そんなこんなでスーパーで野菜と肉を買ってきて焼いて食べることにした。なぜかそこにはレットもいて3人で夕食を食べることになったのだけれど、あることをレットはミリーに言う。
「・・・それにしても悩みが1つ解決しましたね」
「なんの悩み?」
「姫として困っている人を助けるとかなんとかいうやつです」
「ああ、それね・・・確かに」
立場が変わってしまった。どちらかというと困っているのはミリーになった。というよりもこれからどうしようかを考えなければいけなくなったとも言えるわけで。
東の空が明ける時、私は。 松下一成 @KZRR
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