第3話 ファンタジックな話ですねそれは
「特別な能力があればいいのだけれどね、漫画とかアニメみたいな」
「何を急に」
あれから何故かレットはミリーの部屋に上がり、勝手に紅茶とかを飲み始めた。部屋の真ん中に置かれた机には何枚かの紙とペン。それからハンコの入った箱。
「ほら、なんか困っている人がいたら助ける。って言うのが姫っぽくない?」
「姫っぽいかもしれませんが・・・」
しばらくした沈黙の後、レットはポケットから木箱を取りだしそれをテーブルの上に置くと静かに開けた。すると中から出てきたのは
「ナイフとフォーク?」
多分、銀で出来ている。・・・と思う。鏡のように磨かれていて何だか眩しい。
「こっちとこっちが喧嘩するとどうなります?」
「ご飯が食べれないから・・・手でつかむしかない?」
「そういうことをいっているんじゃ・・・まあ、それもそうですね、ナイフとフォークが喧嘩したら確かにご飯が食べれませんね」
レットはミリーの言葉に「うんうん」と頷いて天井を見上げた。
「喧嘩したら、ミリーさんはどうします?」
「・・・箸を使う」
「なるほど・・・では箸を作りましょうか」
自分を呼び出した木の棒を持ってくると箸の長さになる様にナイフで切り、そしてそれを削っていき、どこから出したのか分からないがワックスなのかニスみたいなのを塗って綺麗に仕上げると見事に2本の箸を作り上げた。
「私を呼び出した木の棒は見事な箸になりました」
「ここから先は私の嘘です。箸はナイフにもフォークにもなります。つまり、使い方ですね。この3つをここに置いていくのであとはミリーさんが考えてください」
そういうと玄関からレットは出ていってしまったのである。
目の間に置かれたナイフとフォーク。それから作ったばかりの箸。それが置かれたテーブルとミリー。
「・・・何にも相談できなかった」
その日の夜、クラッキーは2階で犬と寝ると言って聞かないので一人で寝ることに。布団を敷き、パジャマが無かったので紫色のジャージを着て眠りにつくことにした。
その日、ミリーは夢を見た。
「・・・・起きてください」
「はい?」
目の前は白い空間。そして昼間のナイフとフォークと箸。それが出てきた。声の主はなんか妖精みたいなやつが3人。そいつらがミリーに話しかける。
「この3つの内、あなたはどれを使うの?」
「3つって・・・ナイフかフォークか、箸ってこと?」
「そうそう、一度に3つは使えないでしょ?だからどれを使うのかなって」
「ふーん」
ミリーはこれが夢であるということが分かった。でもこの話の続きが気になったので答えることにした。
「フォークじゃない?」
「ぶぶー。そうじゃありませーん」
「そうなの?」
「あんた、もう自由なんだから3つ使えばいいの」
「でも、どれかを選べって・・・」
「ああ、いらない、そういう面倒な言い訳は」
変な夢を見た時に、ふと目が覚める。なんてのを経験したことが有るのかもしれないし、夢と現実が繋がってくるなんていう感覚も感じたことが有る人もいるだろう。
しかし、夢から手紙を貰ったことのある人はいないと思う。
ミリーの目の前の机には封筒に入った手紙が置かれていたのである。
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