第3話 塩田セアの逆上

 問題は、なぜ三宅竿が東京駅発ののぞみに乗っていたか、だ。駅員の証言によると、明子あきこ夫人が財布だけを持って現れていたらしい。そして、三宅竿は一本前の新幹線に乗ったはず——。


 下田は、塩田に「財布を見せてくれ」と要求した。塩田セオは財布を見せた。二万五百円。


「おかしいな。ぼくは君にきっかりひかり代の一万四千二百五十円しか上げていないはずなのに」


 宮間が気づいた。「そして新幹線は密室だから、銀行にも行けない、と! だから——」


 下田はいった。「こうとしか考えられないな」

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