第13話
(なんなんだアイツ…)
一人でマンションへと帰ってきた俺は、夕食も食べずにシャワーを浴びてすぐにベッドに横になった。
彼女の香りが染み付いたベッドに横になっていると、やはりどうしても彼女に会いたくなってしまう。
一度起き上がって部屋を見渡してみるが、やはり桐也の姿は無い。
(幽霊は良いよな、面会時間なんて関係なくて)
心で皮肉を言っていると、ふと脳裏に眠る彼女を抱きしめながら眠る桐也の姿がよぎった。
彼女には見えていないとはいえ、俺がそうしたくても出来ないことを桐也は出来てしまうのかと思うと怒りが込み上げてきた。
「くそっ!」
そして一旦怒りが湧き始めるとそれはどんどんと膨らんでいき、俺はとうとう桐也に対してあらぬ疑念を抱き始めた。
(そもそもアイツはなんで秋さんの傍に居続けてるんだ?今日だって新薬の話に過剰に反応してたし。新薬だって試してみたら上手く効いてくれるかもしるないのに、アイツはなんであそこまで……)
「そうか…」
ぐるぐると考えを巡らせていた俺はとうとう結論に辿り着き、ベッドから起き上がった。
(アイツ、秋さんを"連れて行く"気なんだ…!)
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