第6話

「………は?」



彼女の言葉に俺は思わず彼女から体を離してソファに座る男を振り返った。



「亡くなった…?」



「そう」



「いつ?」



「私が19の時だから…今年の冬で8年になるかな」



「8年…前…?」



驚く俺の顔を覗き込みながら彼女が黙って頷く。



(じゃあ…こいつは…)




困惑した俺が再びソファを振り返ると、そこに男の姿はなく、気が付くといつの間にか彼女の傍にいて愛おしげに彼女の頭を撫でていた。




しかし、撫でられている彼女の方はどうやら気が付いていないようで、大きな瞳で俺を見上げている。



(…見えてないのか…?)




彼女と付き合い始めて3ヶ月。



俺は突然、彼女の死んだ元彼の幽霊が見えるようになってしまった。

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