一章
第5話
「罪名は?」
大勢の人に紛れながらただ流されるままにやって来た橡は、
黒いゲートの前で頭だけが鴉の警備員のような人物によって足止めされていた。
「ざいめい?」
橡は訳が分からず、目だけを動かして辺りを見回した。
おそらく入口であろうゲートは橡のいる所も含めて5つ。
ゲートそれぞれに一人ずつ鴉頭の警備員がおり、やはり皆、警備員に何か聞かれているようだった。
「罪名は?」
鴉頭の警備員に繰り返し問われ、パッと脳裏に白い人物の亡骸と、黄金の鎌を振り下ろした時の手の感触が蘇ってきた。
「………殺人…です」
「そうですか、それではどうぞ」
鴉頭の警備員は、橡の返答に全くの無関心で、手元にある小切手サイズの厚紙にサラサラとなにかを記入し、最後にもう一度橡の顔を見ると、
左側に設置してある青色のボタンを押してゲートを開けた。
「ここでは全ての罪が赦されます。楽園へようこそ」
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