第25話
やがて、父は行方不明という扱いとなった。
警察が家を隅々まで捜索しに来た時はドギマギしたが、不思議なことに父の遺体どころか血痕すら見つけられなかった。
「ほのかは"何も知りません、お父さんを探してください"ってだけ言ってれば良いよ」
姉は警察が何をしに来るのか分かっていたのだろうか、私にそう言って聞かせた。
警察にはすぐに私が父から虐待を受けていたことが知られてしまい、その為疑いがかかったのだろう。
「ほのかは実際、なにもやってないでしょ?アイツを殺したのは
そうして姉の言う通り、捜査は早々に打ち切られ、私と姉の2人だけの生活が始まった。
私はアルバイトを始め、自分でスマホを買った。
大学は私立の女子大に入り、友人達と学生生活を謳歌した。
姉は、そんな私をずっと見守り続けてくれた。
家に帰り、友人の話やバイト先での話を姉に話しながら一緒に夕御飯を食べる。
私はそんな当たり前な毎日が温かく、幸せだった。
「お姉ちゃん寝よう〜」
ドライヤーで髪を乾かし終わった私は、リビングに姉を迎えに行ったが、既に姉の姿はなかった。
父の死以来、姉は定期的に家を空けることが多くなった。
翌朝にはいつも通り私の隣で寝ているが、日によっては異常に汚れて帰ってくる。
姉が何をしているのか気にならない訳ではないが、それ以上に私は知るのが怖かったので、その疑問を姉に打ち明けることはしなかった。
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