第22話
そして涙を流す私の頬を撫でると、「大丈夫だ、父さんが優しくしてやるから」と私のワイシャツをはだけさせ、今度は胸に顔を埋めた。
父に触られた全ての箇所が凍りつき、屈辱と嫌悪が同時に身体中に駆け巡る。
父は片方の手で私の胸を揉み、もう方の胸を舌で舐めまわしていた。
まだ乳首辺りにしこりの残る私の乳房を、父は満足気にじっくりと撫で、「アイツの方が大きかったか」と笑う。
「父さんな、穂乃香とずっとこうやって"仲良く"したかったんだよ。良かったな?初めてが父さんで。あんな経験も少ない子供相手じゃ気持ちよくなんてなれなかったぞ?大丈夫、お前の姉さんも父さんが気持ち良くしてあげてたんだ、体の力を抜いてごらん?」
そう言って笑う父の顔は醜悪で、とても形容のしようか無いほどおぞましい顔に見えた。
真っ白になった頭で、私が唯一考えたのは姉のことだった。
姉は幼い私の気付かぬ間にこの男の相手をさせられていたのだ、
そう考えると、今なら確かに思い当たる節がいくらかあった。
姉は自覚していなかったが綺麗な容姿をしていた。
高校に入ってバイトを始めた姉は、年上の大学生や同年代の男子に気に入られ、度々送迎されたり、お土産を持って帰ってきたりしていた。
しかし、ある日を境にぱったりとそれがなくなった。
それは、父が外泊する予定だった日、姉はいつもよりも長いシフトに入り、帰りが遅かった。
その為、予想外に早い父の帰宅前に家にいるこおが出来なかったのだ。
大学生の車に乗せられ、帰宅した姉はおそらくバイト仲間から貰ってきたであろう惣菜やお菓子を両手に明るい声で私の名前を呼んだ。
私はその声を布団の中でぶるぶると震えながら聞いているだけで、返事をしなかった。
そして代わりに父の怒声が響き、次に姉の悲鳴が聞こえた。
「お母さん!!お母さん!!おかあさん!!」
まるで子供のように母を呼び、叫ぶ姉の声を私はその日初めて聞いた。
それだけ姉は取り乱していたのだろう。
しかし私はその姉の悲鳴を無視したのだ。
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