第21話

目を覚ますと、私は家のリビングのソファにいた。



体を起き上がらせるのが恐ろしくて、眼球だけを動かして誰も居ないことを確認しようとする。



「お、お姉ちゃん……?いる?」



しん…と静まり返るリビングに恐る恐る声を掛けると、「チッ」と鋭い舌打ちが聞こえた。



その舌打ちに私が体を震わすと、舌打ちをした人物がすぐにソファに横になる私の上に覆いかぶさってきた。



「お前なんのつもりだ?」



「ヒィッ…!ごめ、ごめんなさい!!ごめんなさい!!」



この家に私と会話が出来る人物は一人しかいない。



「なんだ?なにに対して謝ってる?」



「い、いや…!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」



なにに謝ってるって?



分かるわけがない、



私には何故父がこんなにも怒っているのかも分からないのに。



ぶるぶると震える私の首を、父は大きな手で掴み、強く握りしめた。



「俺はお前をここまで育ててやったんだ、なのにお前も、お前の姉も感謝どころか恩を仇で返しやがって」



父はブツブツとなにか言いながらギリギリと私の首を締め上げてくる。



意識が遠のき、私の体から力が抜けたのを見ると、父は次に私の服の下に手を潜り込ませてきた。



「!?いやぁああ!!」



父の大きい手が私の膨らんだ胸を揉み始めた瞬間、私は拒否反応で足を思いっきりばたつかせ、父の腹を蹴り飛ばした。



しかし、父は私の蹴りなどどうってことないようで、暴れる私の足首を掴むと、そのまま足を開かせ、私の股間に顔を埋め始めた。



性的な経験の無い私でも、この父の行動の意味を瞬時に理解できた。



「いやぁああああああああぁぁぁ!!助けて!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」



あまりの嫌悪に、私は大声で喚いた。



すると父はそんな私を見て何故か笑った。



「お姉ちゃん?ああ、お前の"姉も"最初はそうだった。慣れればお互い良いもんだから大人しくしろ。その反応だと、あの男とはヤッてないんだな?」



ギャーギャーと喚く私に、父は途中で急に優しい口調になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る