第17話
そうこうしている内に、私は徐々にクラスメイトとも馴染みはじめ、あっという間に夏休みへと突入した。
長期休みは私にとって苦痛でしかなかった。
クラスメイトからも遊びの誘いがいくつもあったが、クラスメイトと遊べるだけのお小遣いなどもなく、断らざるを得なかった。
「おーい、和田〜クラス会来いよー」
終業式の日、部活があるであろうはずの秋人が校門まで私に張り付いてきた。
「だか行けないって。お金ないの」
「はー?カラオケ代ぐらい俺が奢るって」
「他人にお金なんて借りれないよ」
「………じゃあお前、1ヶ月も家に閉じこもってんのかよ…?」
「は?」
急に声のトーンが低くなった秋人を私が驚いて振り返ると、秋人が唇を噛み、何故か悔しそうな顔をして拳を握りしめていた。
「え…なに…?」
「和田、バスケ部のマネージャーやれよ」
「いや…そんな急になんで」
「バスケ部は毎日練習がある。だからずっと家に居なくも良いだろ?」
「は…?だからなんなの…」
私がいつものように反論しようとすると、秋人は乱暴に私の襟元を掴み、第一ボタンまで閉め切ったワイシャツを破るように引っ張った。
「いっ、た!」
引っ張られた勢いでボタンが取れ、首にくっきりとついた指の痕が露になる。
数日前、父に首を絞められながら殴られてできたものだ。
「こんな痣毎日増やしてくる奴をほっとけるわけないだろ!?なんで逃げねーんだよ!?」
ものすごい剣幕で怒鳴る秋人に、私は思わず呆気にとられた。
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