第16話
姉の言葉に従うように、私は次第にクラスメイトとも話すようになった。
まともな人間関係を築くのは小学生以来だったが、幸い、クラスメイトは不器用な私を受け入れてくれた。
「ねえ、穂乃香ちゃんて多和田くんと仲良いよね、何繋がり?」
昼休み、数人の女子グループに混ぜてもらい、自分で握ったおにぎりを頬張っていると、ある子が興味津々といった様子でぐいっと顔を近付けてきた。
「え…繋がり?特にないかな…」
「えー?じゃあ、よく2人でなに話してんのー?」
「あー…、昨日何を食べたとか…今日弁当を持って来たかとか…体重何kgだとか…確認?されるくらいだよ?」
「え…なにそれ…トレーナーみたい…」
何故かガッカリしたような反応に、私が困り顔でいると、後ろから話題の人物が私の肩に腕をまわしてきた。
「いやーそれがさ、俺和田に勉強教わってんの。だからそのお礼に俺が昼飯奢るって行ってんのに中々受け取ってくんなくてさー」
爽やかに微笑む秋人の言葉に、クラスメイト達は急に色めきたち、「そうなんだー!確かに多和田くん、最近順位上がってるよね!」と口を揃えて褒めちぎる。
(なんだこの会…)
モソモソとおにぎりを食べ続ける私の顔を秋人は一瞬覗き込み、ニカッと微笑む。
その微笑みの意味が分からず、私が眉を寄せると、正面に座っていたクラスメイトが「なんか反抗期の娘とお父さんみたい!」と笑った。
すると秋人も「マジかー」と明るく笑いながら私から離れると、「まあ、今はそれでいいか」とボソリと呟き、バスケ部仲間の方へと戻って行った。
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