第14話
「お姉ちゃん…それどういうこと…?」
私は震える指先で、姉のふっくらとした体に触れ、強引に腕の中に閉じ込めた。
姉が居たからここまで生きてこられた。
姉がまた居なくなってしまったこの家を、あの部屋を、リビングを想像すると頭が真っ白になり、背筋が凍った。
「嫌だ…嫌だよお姉ちゃん…、お願い居なくならないで…ずっと一緒って約束したじゃん…」
姉のもちもちとした顔に顔を埋め、すすり泣く私に、姉は「違うよ、ほのか」と藍色の短い前足で私の涙を拭った。
「私は居なくなったりしないよ。ずっとほのかのそばに居る。だけど、私はこの家から出られないし、ほのか以外の誰とも関われない。ほのかを家族として庇うことも、支えることも出来ないの。私はそれが心配なんだ」
「そんなの…!そんなのお姉ちゃんが気にすることじゃない!お姉ちゃんはもう十分に私を守ってくれたよ!私はお姉ちゃんがそばに居てくれるだけで良いの!お姉ちゃんに守って欲しい訳じゃない!」
泣きながら叫ぶ私に、姉は尚も首を左右に振った。
「ほのか……お姉ちゃん気付いてるよ」
「え?」
姉の言葉に、私は何故かビクリと肩が動いた。
何故か唐突に虚をつかれたような感覚だった。
「ほのか…ほのかはこの家に縛られる必要なんてないんだよ?学校にいる時は友達と楽しく過ごして良いし、放課後だってお父さんに気付かれなければ友達と遊びに行ったって良いんだから」
「…………そんな、、私には必要ないよ」
「どうして?」
「だって………お姉ちゃんは私くらいの時、全然そんなこと出来なかったじゃない!お姉ちゃんの友達になんて会ったこともないし、バイト以外でお姉ちゃんが外室してたこともない!だってお姉ちゃんはずっと私の傍に居てくれたから!なのに私だけそんな……そんなこと出来ないよ!」
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