第12話
「和田〜、今日こそ勉強教えてよ」
「嫌、消えて」
翌日の昼休み、秋人は私に購買で人気商品のスタミナフランスサンドを差し出しながらカラッと微笑む。
「なんでだよ、ほら、これあげるからさ。おばちゃんに頼んでキープしておいてもらった」
「いらない」
私が秋人から目を逸らし、席を立とうとすると、すぐに秋人が私の肩を掴み、席に座らせる。
「なに、やめてよ!」
「やめない。勉強は良いから、これは食えよ」
「だからいらないって」
「じゃあ、俺もここから動かない。和田が受け取るまで昼休みが終わってもここにたち続けるから」
「……意味が分からない…ほんとになんなの?」
苛立つ私に、秋人は怯むことなく「だって和田、いつも飯食ってないじゃん。だんだん痩せてきてるし」とフランスサンドを机の上に置く。
「…私が食べようと食べなかろうと、痩せてようと痩せてなかろうと、そっちには関係ないでしょ」
「関係あるとかないとかって話じゃない、俺が和田にコレを食べて欲しいんだよ」
「だからそれをいらないって言ってんの」
そうこうしている内に、クラスの注目がどんどんと集まってくる。
その視線が煩わしくて、私は机に置かれたパンの封を切り、パンを思い切り噛みちぎった。
「これで満足でしょ、もう行って」
そう言って私が秋人を睨みつけると、秋人は「全部食えよ!」と満面の笑みを浮かべ、何故か軽い足取りで教室を出ていった。
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