第10話
男子生徒の名前は
彼は普段は同じバスケ部員達と過ごしており、天気のいい日は外のバスケコートでミニゲームをしている。
昼休みには、そのバスケコートにミーハーな女子生徒達が集まり、騒がれているような人物だ。
そんな彼のことを私はあの日、彼に声を掛けられるまで全く認識していなかった。
(人気者の気まぐれか)
私は連絡通路から外のバスケコートを見下ろし、無邪気に微笑む彼を密かに鼻で笑った。
すると次の瞬間、ふっと彼がこちらに顔を向け、ぶんぶんと大きく手を振ってきたのだ。
「!?」
連絡通路にはその時、誰もいなかったが、私は再び慌てて教室へと戻った。
自分の席へと戻った私の心臓は驚きからか、それとも彼を鼻で笑ったことによる罪悪感からなのか、バクバクと早鐘を打ち続ける。
そうして昼休みが終わり、クラスメイト達が次々と教室へと戻り始めた頃にようやく私の心臓も落ち着きを取り戻し、次の授業の教科書を引き出しから取り出そうとしたその時だった、
肩にポンと大きな手が置かれ、振り向くと微笑んだ多和田秋人の顔があった。
「!?」
「見てたでしょ、俺のこと」
秋人は私の耳元で、何故か楽しそうな声でそれだけを言うと、特に私の反応を見る訳でもなく、サッと自分の席へと戻っていった。
(な、なんだあの人…)
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