第2話

私の父は、定期的に家を数日間空けることがあった。



姉は、どうしてだかその父の日程を把握しており、高校生になり、アルバイトを始めた姉は、その数日間は私の為に、普段縁のないデリバリーや外食へと連れ出してくれた。



そしてその日も、父が外出したことを確認した姉と私は昼間から二人で近所のスーパーへと買い物に出掛けた。




普段食べる機会の無い、高めのアイスクリームやお菓子を買い、この数日間どう楽しむかを二人で話し合いながら家路へとつく。



しかし、家の前へと着いてみて、姉が足を止めた。



「なんで…」



姉の声に、庭を見ると、そこには出掛ける時にはなかったはずの父の車があった。




顔面蒼白の私に、姉は「帰って来ちゃったね」と笑顔で誤魔化し、「中に入ったらすぐに2階に行きなね」と私の頭を撫でた。

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