第12話
【違う…僕が本当に醜いから……美しいものを欲しているからこそ創り出せるんだ。君は僕の理想、僕は君の現実】
「………………」
【その証拠にほら、僕は君が怖い。君のその美しい姿が僕にはおぞましくて、君のその美しい声が耳障りでしかたない。僕は
「それでもあなたが世界の全てだ。あなたが描かなければ、万物は存在しない。あなたに見れないのなら、僕が代わりにあなたの美しい
【僕は……】
「…だからあなたは、あなたの望む夢を見れば良い」
満月の言葉に少年は【僕の望む……】と首を傾げる。
そして漆黒の闇を眺め、しばらく考えた後、少年は【あの子に会いたい…探して欲しい】と満月を見た。
「分かりました、あなたの代わりに探しましょう」
【それで伝えたい…僕があの子を好きだったこと…好きになってしまったこと…きっとあの子は僕のことなんて覚えてないだろうけど…】
俯く少年に、満月は「伝えましょう、彼女は僕以外で初めてあなたを認識した人間だ、きっとあなたのことを覚えているはずです」と微笑んだ。
【そうかな…】
少年が照れたように真っ白な口と空洞の瞳からどろりと闇を漏らすと、
その瞬間、少年を囲み歌う頭部の無い鴉が増え、少年の真っ白な体を真っ黒なベールが包む。
【ああ…満月…、僕の唯一の友達。僕の片割れ。僕は君がおそろしい、僕は君が妬ましい、だけど忘れないで…僕は君が一番……………】
少年は最後まで言い終わる前に空洞の瞳を閉じ、深い深い眠りへと落ちてしまった。
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