第7話

それから私と石田は席も近いこともあり、徐々に親しくなっていった。



そして高校受験シーズンに入り、私の成績表を見たカスが『石田くんに勉強を教えて貰った方がいい』と言い出した。



私の成績はそれ程悪くはないはず。



首を傾げる私に、カスは『いいから』と成績表を押し付ける。



そして翌日、学校に行くと石田の方からさっそく勉強会の提案があった。



私達2人は放課後、カスに言われるがままに私の家で勉強会をすることになった。



もちろん、石田の隣にはクズが。



家に帰るなり、カスとクズはテキパキとリビングを行ったり来たりしてお菓子や飲み物を準備し始める。



「え、ウチにジュースなんてあったの?」



『今搾った』



「今絞った!?ワイルド過ぎ…」



唖然とする私に、今度はクズが綺麗に盛り付けられた洋菓子がのった皿を差し出してきた。



「えっ、これ買ってきてくれたの?」



[今作った]



「今作った!?いやハイスペ過ぎ…」



「クズはね、料理が好きみたい。僕もたまに一緒に作ったりするよ」



ニコニコと微笑む石田が皿にのったマドレーヌを食べながらクズを「ね?」と見上げる。



「そうなんだぁ、カスも料理は上手いけど、あんまり一緒にしたりはしないな…やっぱりできた方が良いかな…」



「興味があるなら一緒にやって貰ったら?僕もやりたかったからやってるだけだし」



「そっかあー、じゃあ私はまだ食べる専門でいいやあ〜」



「ふふ、じゃあ今度、僕の作ったお菓子の試食してくれる?」



「いいよ!」



満面の笑みを浮かべながら石田に親指を立てる私に、石田は「やった」と小さく照れ笑いを浮かべた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る