第6話
「石田くんはどうやってクズを見つけたの?」
帰り道、私がカスに抱えられなが、隣を2人並んで歩く石田とクズを見た。
「ああ、僕は掃除の時だよ。ほら、最後のゴミ出しって皆嫌がるじゃん、だから気が付いたら僕以外ゴミをまとめるだけまとめて先帰っちゃっててさ」
「うわぁー、それ最悪」
「ふふ、それで仕方なくゴミ出しに行ったんだけど、凄い散らかってて。それでまとめてゴミ袋に入れようとしたんだけど、どうしてもクズだけがゴミ袋から飛び出してきちゃったんだよね。こう、ぴょーんと」
「おわぁ…アクティブ…カスはもっと控えめだったな…」
「そうなの?でもアレがあったから僕はクズに気付けたし、毎日楽しいよ」
「やっぱり、石田くんの家族もクズと仲良しなの?」
「うん、なんでか分からないけど、凄く信頼してるみたいだよ。小さい頃から一緒にいる設定になってる」
「それウチもだよ!ビビらなかった?」
石田も私と同じ変化を感じていたことに、私は安心したような、嬉しいような感覚になり、少し声が大きくなってしまった。
そんな私に、石田は照れたように笑い返す。
「はは、でもクズはこの姿になる前から優しかったから、違和感はなかったよ」
「え…?クズは最初から喋れたの?」
キョトンとする私に石田も同じような顔をして首を傾げる。
「うん…拾った時から話せたけど…どうして?」
「カスはこの姿になってから話始めたんだよ!」
私がそう言うと、クズは隣で私を抱えて歩くカスの顔をチラリと見たが、何も言わなかった。
「そうなんだ、個体差があるんだね、面白い」
私の言葉に笑いを零す石田に、私は制服のポケットからスマホを取り出す。
「石田くん、連絡先教えてよ!カスとクズの話もっとしたいから」
「うん、それに僕達お互いしかこの2人のこと話せる相手いないしね」
そう言って石田が微笑み、カバンからスマホを取り出した。
するとカスは自然と私を下ろし、石田と私がスマホの画面をかざし合う様子を見下ろし、次にクズへと目配せをしては2人で密かに親指をつき上げていたのだった。
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