第4話

すると、母と私の言い合いを静観していたカスがスっと間に入ってきて、『ママ、そろそろ夜勤行かないと』と母の背中を押した。




母が夜勤へとでかけると、家にはカスと私の2人だけになった。



「おいーー!なにがママだよーーー!お前はマジでなんなんだよーーー!」



白い胸板をバンバンと叩きながら抗議すると、カスは大きな白い手で私の頭を撫でる。




まさに子供扱いである。



『俺はカス、志帆を守る為にいる』



「守るってなんだよーーー!なんでだよー!幼虫に戻れよーー!新種の蝶とかになれよーーー!」



『それだと守れない』



「だからなんだよ守るって…なんでだよ…」



ため息混じりの私の問に、カスは全く表情を変えず、まっすぐ私を見下ろしながら頭を撫で続ける。



『俺は不定期に地球ここに落とされる、地球外生命体だ』



「うそだろ…」



カスの突然のカミングアウトに、私は大人しく頭を撫でられながら、あんぐりと口を開ける。



『俺達は消しカスに似ている』



「たしかに…!」



『だから大半はゴミと一緒に燃やされて死ぬ』



「なんてこった…!」



『だけど志帆は俺を育てた。俺は志帆から色々学んだ。最初は俺と志帆しかこの世に居ないと思っていたが、世界には様々なものが溢れていた。それを知れたのも志帆のおかげ。だから俺は志帆の為に生きる。だから守る』



「カス………」



見た目は190cm以上あるマッチョの全身タイツの変態だが、不覚にも私はカスの言葉にじ〜んと感動してしまった。



『だから俺のCVは黒田〇矢だ』



「やっぱりー!?その感じ、そうだと思った!好きだよ!」



『知ってる。ちなみに変更も可能だ』



「うそ!じゃあ明日は櫻井〇宏にできる!?」



『できる。好きなのか』



「好き!」



『わかった』



こうして、私の中のカスへの好感度と理解度が爆上がりした。



見た目はよく分かんないけど、ぶっちゃけ私は声重視なようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る