第28話

グシャリと仲間の頭部が潰れるのを目の当たりにした男達は武器を放り出し、一目散に逃げ出そうと迷路の方へと向かって行った。



しかし、この迷路は入ることは容易でも、出ることは不可能だった。



緑豊かな空間を抜け、灰色の迷路へと足を踏み入れた瞬間、灰色の壁から凄まじい電流が放たれ、男達をことごとく丸焦げにしていく。



この迷路は、迷路を引き返そうとする者は誰であっても攻撃するよう作られていたのだ。



全ては"獰猛な獣人"を閉じめ込めておく為。



少年はカリンの頭部を抱えたまま、その暗く濁ったルビーの瞳に映った男達を次々とその細い片腕でへし折っていった。



「謝らなきゃ…フリージアに…謝らなきゃ…」



虚ろな瞳で少年はただ、途中で置き去りにしてきてしまったフリージアのもとへと向かった。



しかし、確かにフリージアを避難させた木の下には既に黒髪の少年がおり、調度その手に赤い液体の滴る大きな赤い宝石を拾い上げているところだった。



「おう、アイツら殺してくれてありがとな」



そう言って黒髪の少年は手首に付けていたブレスレットのクリスタルを取り外し、手に持った大きな赤い宝石を強引にはめ込んで笑った。



「なあ、お前も俺と一緒に来ないか?」

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