第26話

「ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう!!!!!!!!!!!!」



激しく動揺し、頭を抱えて叫ぶ少年の存在に気が付いたマントの人間達は、少年の姿を見て納得した様に頷き合った。



「あれが子供を喰らう獣人か」



「そうらしいな」



「そんな大したこと無さそうなのが残念だけど、まあ、楽な仕事で英雄の称号が貰えるに越したことはないしな」



「そうだな」



顔を覆い尽くすほど深いフードの着いたマントを脱ぎ、顔をあらわにした男達は、手に持った宝石を持っていた武器にはめ込み、その刃を少年へと向けた。



「おい、お前がこの迷宮に住むミノタウロスだな?こんな洞窟に複雑なまじないを掛けて王がなにを守っているかと思えば、自分の息子を使って魔法石を生成する花を作らせてたとはな!しかも生成した魔法石はそのまま王都が独占て仕組みなんだろ?つくづく汚ねー国だぜ!」



一人の男が少年に向かってそう吠えたが、少年は全く男の話を聞いておらず、地面に転がった少女の首を震える手で拾い上げ、血の涙を流していた。



「カリン…お願い…お願い、生きて…お願い、もう一度僕を見て…お願い…お願い!!!!!!」



少年の血の涙は、少女の頬へと触れた瞬間、赤い宝石となり、少年はその宝石を拾って少女の額へと押し付ける。



だがしかし、少女の光を失った瞳が再び少年を映すことはなく、少年の呼び掛けにも応じない。



失った命は魔法でも取り戻せない。

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