第20話

黒髪の少年が花を引きちぎるのを、少年は無表情で見つめ、特に言い返すこともしなかった。



「はっ、獣とのコラボの分際で、俺に指図してんじゃねーよ」



言葉も無く立ち尽くす少年に、黒髪の少年は勝ち誇ったような顔でそう吐き捨てると、早足で来た道を戻って行った。



「…………」



そうして森の中にポツンと一人になった少年は、引きちぎられた花を見つめ、「守れなくてごめん」と呟く。



「君にあげた花……」



少年は、しばらく花の咲いていた地面を見つめ、立ち尽くしていたが、すぐにハッと何かを思い出したかのようにある方向へと走り出した。

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