第17話
「お兄ちゃん〜!これは食べられる〜?」
「うん」
「これは〜?」
「うん」
温かい日差しの中、大勢の子供達を引き連れ、カリンは少年と共に食材の調達に来ていた。
(ほんとになんで洞窟の中に森があるんだろう)
「カリン、こっちに来て」
鮮やかな花々をぼーっと見つめていたカリンは、少年に声を掛けられ、後ろを振り返る。
「なに?」
「こっち」
少年は、振り返ったカリンの手を引いて、子供達より少し離れた花畑の中へと入っていく。
少年の足は裸足で、両足首に鎖のちぎれた鉄の足枷が歩く度にカチャカチャと鳴る。
そしてある花の前で立ち止まると、「これ」と花を指さした。
「これ……?」
「この花、カリンにあげる」
「あげるって……うん…ありがとう」
カリンは少年に礼を言うと、そっと花に手を伸ばした。
そしてカリンがその花を摘み取ろうとした時、少年が「ダメ」とカリンの腕を強く掴んだ。
「えっ、あ…ごめんなさい…」
「この花は摘んじゃダメ、少し見ていて」
そう言って少年は、カリンの腕を掴んだままジッと花を見つめ始めたので、カリンも少年に習い、同じ花を見つめる。
すると白い花弁に包まれた花の中心部からジワジワと水のような液体が湧き出してきて、いっぱいになり、花弁や茎を伝って液体が地面へと触れた直後、コロりと一粒の宝石が生まれた。
「!?す、すごい!」
「うん」
カリンの明るい声に、少年は柔らかな笑顔を浮かべながら地面に落ちた宝石を拾い上げ、そのままカリンの手のひらに乗せる。
「こんな綺麗な石初めてみた!」
「うん、あげる」
「えっ、いいの!?ありがとう!」
「うん。この花、カリンにあげた。だから花の作る石も、カリンのもの」
「嬉しい!じゃあ、皆にも一つずつあげられるね!」
普段はしゃぐことのないカリンが、無邪気に微笑むのを見て、少年にも再び笑みが零れた。
「じゃあ、作り方を教える」
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