第15話
「こっちだって想定外なことが続いてたんだよ」
『想定外?』
「ああ。予想よりもこの中が安全だったってことだ」
『はぁ?その洞窟には獣人がいるんだろ?』
黒髪の少年の言葉に、軽薄そうな若い男の声が裏返る。
「獣人だって?あんなの獣人なもんか、ただの獣と人間のコラボだ」
『おい…ど、どういうことだ?まさか、お前らその獣人と仲良しこよししてんじゃねーだろうな?』
「そのまさかだ」
『ふざけんなっ!!』
動揺する男の怒鳴り声を、少年は呆れ顔でブレスレット越しに聞き流す。
どんなに悪態をつかれても少年にはどうしようも出来ないのだから仕方がない。
「それだけじゃない、ここには至る所に魔力妨害がひかれてる。そのお陰で今居る場所以外では外に繋がらない」
『魔力妨害?何故内側に魔力妨害なんだ?』
「俺に聞くな」
少年はぶっきらぼうに返しながらも、男に言われて初めて確かにそうだと口元に手を当てた。
魔力妨害とは、魔術師同士の戦闘が行われるのを想定して造られた建物によくある仕掛けだ。
特に王都や王国にとって重要な都市や施設はこうして守られていることが多い。
「…ここがどう重要なんだ…?」
少年はボソリと呟き、再び自分の前にそびえ立つ女性の石像を見上げた。
白い石像は豊かな森の自然の中でふんわりと優しく浮き出すような白さで、鳥や蝶たちがそっと肩や足元に降りては羽を休めている。
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