第12話
「私達はここに生贄として送られてきました。この洞窟に住む、獣人の食糧として。あの……さっきの子達も…私達と同じなんですか?」
すっかり日が落ち、空が蒼天の星空へと姿を変えた頃、大勢の子供達と食事を終え、焦茶の髪の少女は、崩れ落ちた神殿の遺跡で星空を眺めている少年の後ろから声をかけた。
「………」
淡い星の白んだ光で少年の白い髪がキラキラと輝く。
「あの……」
ルビーの様な鮮やかに煌めく少年の瞳に、少女が言葉を飲み込んだ時、唐突に少年が口を開いた。
「知らない」
「え…?」
「僕は何も知らない。僕は最初からここに居て、君達が来た、それだけ」
「そう…ですか…。じゃあ、獣人と言うのは…」
「知らない」
「……分かりました」
焦茶の髪の少女は、質問するのを諦め、踵を返そうとした時、「何が分かったの?」と初めて白髪の少年が少女の細い手首を掴んだ。
「えっ」
「僕には何も分からない」
「はい…それは聞きました…」
「なのに、君には何が分かった?」
「え?いや…なんの話を…」
混乱する少女に、少年はずいっと歩み寄る。
「教えて」
真っ直ぐにじっと自分を見つめる綺麗なルビーの瞳に、少女は目を奪われて息が出来なくなった。
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