第8話
少年に導かれ、子供達は疲弊した体で必死に足を動かしていた。
もうどれくらい歩いたのだろうか、
前を歩く少年は一体何者なのか、
正常であれば自然とそんなことを考えてしまうところだが、子供達は既にそんな思考さえも失っていた。
(疲れた…)
(お腹空いた…)
(足痛い…)
(もう歩きたくない…)
そうして子供達が精神的、肉体的限界を迎えようとしていた時、俯いて歩いていた子供達の視界に青々とした鮮やかな草花が飛び込んできた。
「え………」
驚いた子供達が顔を上げると、そこはさっきまで続いていた灰色の景色ではなく、色とりどりの草花が咲き乱れ、豊かな自然に覆われた遺跡の様な建物が広がっていた。
「出られた…?」
空を見上げると、そこにはさんさんと日差しを降り注ぐ太陽があり、温かい日差しに照らされた白い石造りの遺跡と色鮮やかな花々が輝いて見えた。
「外に出れた!!」
「家に帰れる!!」
「獣人なんて居なかったんだ!」
飛び跳ねて喜ぶ子供達に、ある声がすぐに否定した。
「なわけないだろ」
「え?」
聞き覚えのあるその声に、子供達が一斉に顔を向けると、そこには遺跡の上で胡座をかく黒髪の少年の姿があった。
「ここは洞窟の最奥だ、俺達はまんまと獣人に捕まっちまったんだよ」
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