第6話
「どうして、泣いてる?」
パニックに陥った子供達が地面に崩れ落ち、泣きわめいていると、突如として何処からか無感情な子供の声が聞こえてきた。
「!?」
声を聞いた子供達はビクリとしながらも声の方を振り返る。
すると子供達の前方に、13歳ほどの、まだ幼さの強く残る顔立ちをした少年が立っていた。
「……だれ…?」
その少年は白髪の髪に、牛のような角が2本生えていて、ルビーの様な赤い瞳からは、少年の純真さが見て取れるようだった。
「どうして、泣いてる?」
少年は、唖然とするばかりで誰も自分の質問に答えない子供達に、再び同じ言葉を全く同じトーンで繰り返す。
そうしてとうとう少年は子供達の方へと一歩踏み出そうとしたので、子供達は口々に悲鳴を上げた。
「来ちゃだめー!!」
「やめろー!!」
しかし少年は子供達の声にただ無表情で首を傾げ、同時に自分へと放たれた電流をその手のに握り潰した。
「なっ、なんで…」
驚愕の表情を浮かべる子供達のもとへと、少年は相変わらずの無表情で近付き、次々と放たれる電流を、全てその手で握り潰した。
「ここでなにしてる?」
地面に座り込んでいる子供達を、少年はルビーの様な赤い瞳で見下ろす。
「あ、あの…私達は……生贄で…あなたも、そうなの?」
口を開いたの泣きじゃくる妹をその胸に抱き、あやす姉だった。
焦茶の髪をおさげにし、ボロボロの服を着た姉は少年を見上げる。
しかし少年は姉の言葉に再び首を傾げる。
「いけにえ?知らない、こっちに来て」
「え?」
「こっちに来て、はやく、ここにいたら、駄目」
少年は不自然に単語をポツリポツリと言いながら石の壁に向かって歩き始める。
「え、あ、でも…」
「みんな、はやく、こっち」
あたふたとするだけで重い腰を上げようとしない子供達に、少年は軽々と姉妹ふたりを右肩に抱え、ついでに近くにいた自分とあまり背丈の変わらない少年も左肩に抱えて歩きだした。
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