第5話
この洞窟に閉じ込められているという獣人は、この国の王が神から受けた呪いによって誕生したと言われている。
呪いによって生まれた子供は、人の形をしておらず、その気性も荒く、この洞窟に幽閉される以前は王室に仕える多くの使用人が犠牲になった。
このことに王は、自身の子によって国を滅ぼされかねないと危惧し、この深い洞窟に醜い自身の子を閉じ込めたのだ。
洞窟に仕掛けられた様々な仕掛けは、閉じ込められた獣人が洞窟を抜け出そうとするのを阻む為のものだったが、皮肉にもその仕掛けはなんの罪もない子供達へと降り掛かってしまっていた。
そもそも、この洞窟に子供達を送るようになったのは、王が我が子である獣人を幽閉してから、民達の間では王室の悪い噂が広まってしまったことが発端だった。
その噂は事実に近いものもあれば、根も葉もなく大きく誇張されたものが多かった。
"幽閉された子供は不貞の末に生まれた子"
"神に呪われた王によって国も滅びる"
"我が子を幽閉した王は、きっと国民をも見捨てるだろう"
"子と偽って、王はあの洞窟で悪魔を飼っている"
このような噂を沈め、民達の反感を回避する為、王は声明を出した。
"呪いの子である息子を幽閉したのは、国を守り、民を守る為"だと。
"しかし、息子に宿った呪いは人の血を欲する。抑える為には毎月10人ほどの生きた子供を生贄に捧げなければならない"
こうした後、国民は王や王室への批判的な噂をしなくなった。
そして王都にすむ裕福な民達は、毎月の生贄を貧しい地方の小さな村や町に金銭や物資との交換を条件に募り、現在に至るのだ。
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