第4話
妹の言葉を皮切りに、子供達の間に更に不安が広がる。
「獣人てどこにいるんだ…?」
「まさかこの迷路のどこかに潜んで俺たちを…」
「やめて…!聞きたくない!聞きたくない!」
あちこちで恐怖を露わにする声が飛び交い、子供達は次第にパニックへと陥っていく。
「……………」
しかし先頭を歩く黒髪の少年は素知らぬ顔でスタスタと歩みを進める。
(うるせぇ…)
そうしていつの間にか先頭を歩いていた少年が姿を消し、そのことに気が付いた子供達は完全に冷静さを失い、泣き喚いた挙句、
洞窟に入った直後外へ出ようとしていた少年がこれまで歩いてきた道のりを引き返そうと走り出した時、石の大きな壁からビリビリと電流が放たれ、少年の体を焦がしてしまった。
「あがぁああああ!!」
「!?」
「なっ…なに!?何が起きてるの!?いやぁ!!」
「雷…雷がどこからか…」
「なんでだよ!ここは洞窟の中だぞ!?」
「俺たち、監視されてるのかも…ここから出ようとしたらやっぱり…こ、殺されるんだ…」
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!」
パニックになったある少女が頭を抱え走り出したのを見て、その少女を止めようと「あ!ダメだそっちは!」と少年も後方へ足を踏み出した瞬間、2人同時に激しい電流に打たれ、石の地面に倒れ込んだ。
「きゃあああ!?」
「なんで!?なんでぇ!!」
「ダメなんだ…僕達はもう戻れないんだ…」
子供達は、黒焦げになった3人の姿を見つめ、恐怖と絶望と共に、現実を突き付けられる。
「ここは…獣人の生贄を逃さない為の迷路なんだ…」
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