第2話

「閉まった…」



「これからどうすればいいんだ…?」



真っ暗な洞窟の中、訳も分からず閉じ込められた子供達は戸惑いを口にし、足を止める。



「この扉、もう一回開かないかな?」



「開けてどうすんだよ?この洞窟から出た瞬間殺されてもおかしくないんだぞ?」



「なっ!なんでそうなるんだよ!なんで俺達が殺されなきゃならない!?」



扉を開けようとした少年の声に、他の子供達は唖然とした。



この少年は、自分達がなんの為にここまで連れてこられたのか知らされていないのだ、と半ば驚き、そして中には呆れている者もいた。



「………お前、聞いてないのか?俺達は、この洞窟の中に住む獣人に捧げられた生贄なんだ。生贄の役割を果たさず逃げ出しなんてしたら、それこそ俺達どころか、村の家族までどうなるか分かったもんじゃないんだぞ!?」



「そ、そんなこと…知らない!俺は知らない!何も聞いてない!なんで…なんでぇ!俺は…どっちにしても死ぬんじゃないか!!」



信じ難い真実を突き付けられ、少年が頭を抱えながら叫ぶと、13歳くらいの少年がため息をついた。



「そうだ、俺達は全員死ぬんだ。だから好きにしろよ、お前がここを抜け出して殺されようと、例の獣人に食い殺されようと大差ねぇ。俺達は一切お前に干渉しない、お前の命だ、最後ぐらい好きに使えよ」



黒髪のその少年はそう言うと真っ暗な洞窟の先へと一人でスタスタと歩き始める。



それを見た数人は慌てて少年の後に続き、取り乱していた少年に便乗して逃げ出そうと考えていた幼い姉妹2人も、迷った末、パタパタと動き出した集団の方へと続いた。

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