星も花も無くした僕の世界

椿

一章

第1話

「はやく歩け!ぐずぐずするな!」



深い森の中を、前後に高圧的な態度の男達に挟まれて歩く子供達の集団があった。



子供達は、誰もがボロボロの古着を着て、急かされながらも森の中を歩むその足元は裸足で、草や木に擦れて血が滲んでいる。



そうしてどれだけ歩いたのか、陽の光など差さないほど奥深くまで連れてこられた所で、大きな洞窟の入口が見えてきた。



「全員止まれ!」



先頭を歩く男の声に、子供達はビクリと体を震わせ、前から順に足を止める。



大きな洞窟の入口は、頑丈な黒い門により閉ざされており、更に電流を帯びた鎖で固く固く封じられていた。



先頭の男が子供達全員が足を止めたのを確認すると、門へと振り返り、手をかざして何か一言二言なにかを口にした。



すると、ビリビリと電流を帯びた鎖が大きな音と共に紐解かれ、黒い門が自動的に開かれた。



「入れ!」


開かれた門から覗くのは先も見通せないほどの闇。



子供達は、威圧的な男達に逆らうことも出来ず、震える冷たい足で順番に闇の中へと入っていく。



そして最後の一人が暗闇の中へと入ると、その瞬間に門は閉ざされ、ビリビリと電流を帯びた鎖が再び門を固く封じてしまった。

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