第17話
「?牡丹さん?」
一頭身の身体でぶにっと首を傾げる朱殷に、牡丹はハッとした様に再び朱殷を見た。
「あれは…父上からの罰だ…」
「罰?」
(父上って、牡丹さんのお父さんが恋さんをってことなのかな?)
「ああ…俺達一族にとって当主である父上は絶対だ。たとえ父上が間違っていたとしても、俺達にとって"父上こそが正しい"んだ」
「当主…凄いお家ですね…」
「ああ、逆に言えば、それくらいの存在でなければ一族を束ねることは出来ないということだ」
「一族を束ねる…そんなに人数が多いんですね」
(こりゃあ、アレだ、新年会とか毎年開いてる系のお家だ)
「?当たり前だろ、頭数が多けりゃその分派閥も生まれる。その中から当主に成り代わろうとする奴が出てきてもおかしくないんだ。だからこそ父上は、血筋の近い恋にも例外無く罰を与えたんだ」
(恋さんは一体なにをしたんだろ。派閥とか当主とか、そーゆーの興味無さそうだけど)
「二人でなに話してるの?」
丁度牡丹の言葉が切れた後、出勤の為に身支度を終えた恋がリビングへと舞い戻って来た。
「別になんでもねーよ、ただ、コイツがまたデカくなったなぁと思って」
牡丹は無意識に話を逸らし、チラリと朱殷を見た。
「はい、それでこの間綿を増量した時のことを話したんです」
反射的に話を合わせた朱殷は、恋に向かってお腹の縫い目を見せるように突き出した。
「そっか。牡丹のことだから、また僕が朱殷さんに人肉でも食べさせてるんじゃないかって疑ってるんだろうね?」
「じ、じんにく!?」
目を白黒させて驚く朱殷に、牡丹は溜息をついた。
「……そりゃあ考えるだろ、古くから使われる手法だ。魂を器に留めておく為のな。事実、恋には前科がある」
そう言って牡丹は目だけで恋を見つめ、そして次に猫用の皿に残ったピンク色のクッキーの粕を見た。
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