第11話

前足を組み、額にギュッとシワを寄せて「むぅ〜ん」と夢の内容を思い出そうと考え込む朱殷を見て、恋は再び笑い声を上げた。



「ははは、思い出せない?でも怪我がなくて良かった。そうだ朱殷さんご飯食べる?用意しといたんだけど」



恋は床に転がっていたクッションを広い上げ、テーブルの近くまで移動させると、クッションの上にそっと朱殷を座らせた。



(お腹は空いてないんだよなぁ…)



「んふふ♡」


「……???」


(なんだ?なんなんだその笑顔は…)


クッションの上に座り、短い前足をちょこんとテーブルにのせた朱殷の様子をうっとりとした表情で見つめる恋に、朱殷は細心の注意を払った。



また急に抱き締められるのだけは回避しなければならない。



鉄板焼きはもう十分だ。


そう思ってつい身構えて恋の様子を伺っていると、次第に恋の息が荒くなり、サンストーンの瞳が危険な熱を帯びていく。



「はぁ…はぁ…♡朱殷さん♡そんなに僕を見つめて…僕になにを求めてるの?あぁ…/////そっか、もしかして僕が傍に居ない時に怖い夢を見たから、もう僕と"片時も"離れたくないんだね!!♡♡♡」


「えっ、いやちがっ!」


「あぁ〜/////それは僕も同じ気持ちだよ?出来ることならずっと君の肌(布)に触れていたいし、ずっと君の匂いを嗅いでいたい…!そうだ、朱殷さんはこれから僕と暮らすわけだし、今から二人で生活するにあたってのルールを決めよう♡」


「あの!だから違くて…!」



朱殷が短い前足をフリフリと振りながら喋りだしたタイミングで、恋もまた何かに取り憑かれているような勢いで話し出す。



「まず、眠る時は絶対に二人で一緒に寝ようね?喧嘩した日も絶対にギュッてして寝ること♡ああ!そうだ、仲直りの時は必ずお互いに仲直りのキスを相手にすること。もちろん唇にね♡朱殷さんはどうしたいとかある?」

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