第3話
「むむむ!むむ〜!!」
立ち上がった恋の後ろで、尚も声を発しながらベッドの上をぽふぽふとジャンプしまくる朱殷に気が付いた恋は、一度振り返ると再びその腕で朱殷を抱きしめた。
「僕と離れるのが寂しいんだね?可愛いなぁ…ねぇ、僕の心臓の音聞こえる?君のせいで身体中が熱い……僕のこの熱は君に伝わってるのかな?」
(ぅあ〜ちちち!伝わってます!ええ、もう充分に!もう大丈夫です!!引き止めてしまってすいませんでした!!)
「む、むむ……」
(きっと鉄板に挟まれて焼かれるたい焼きはこんな気持ちなんだ……)
恋の熱い腕で更に熱い胸板に押し付けられた朱殷は、心底懲りた気持ちでぐったりと体を外側に仰け反らせた。
いや、正しくは意識を失って体が自然と仰け反ったのだった。
「あれ?朱殷さん??どうしたの?お〜い」
突然大人しくなった朱殷の一頭身の体を恋は一度バーテンの様に上下に振ってみた。
「…………………」
しかしなんの反応も無い朱殷を見て、恋は一瞬ニッと口角を上げると、そっと朱殷の縫いとめられた口に自分の唇を押し当てた。
そして唇を離すと、再び朱殷をベッドに寝かせ、寝室を出て行った。
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