第47話
ジルの言葉にオリヴィエは戦慄した。
「!?」
(追っ手!?ここに?彼女を殺しに…?)
「まさか…彼女の存在がバレたのか…?」
「僕が皆に教えたんだ…」
「ジル…!?」
目を見開くオリヴィエに、ジルは眉を下げ、涙を流しながらもう力もろくに入らなくなった腕をオリヴィエの腕に絡め、「ごめん……僕は…君を取り戻したくて…」とガタガタと震えた。
「君の…君の為だと言っておいて…僕は親友の大切な存在を、自分の勝手な正義感と思い込みで奪おうと……よっぽど…よっぽど僕の方が化け物だ…オリヴィエ、逃げて」
親友の涙の告白に、オリヴィエの瞳からも涙が零れた。
最後まで言わずにいれば、ジルの思惑通り彼女は捕らえられ、確実に粛清されていたはずだ。
なのに彼がオリヴィエに打ち明けてしまったのは、今までジルが受け入れられずにいた"化け物に心惹かれるオリヴィエ"を受け入れた証拠だった。
「ジル……俺は…」
「はやく行って、彼女は地下にいる」
「……分かった」
オリヴィエは息も絶え絶えなジルの蒼白な顔を撫で、目元に残る涙の跡を拭った。
「お願い、僕のせいで君が不幸にならないで」
「……ジル、俺はお前に出会えて幸せだった、不幸になんてなる訳ない」
「〜〜!僕も…幸せだった…」
そうしてジルが最後になにか唇を動かしたと同時に、教会の外から激しい怒号が響いてきた。
(来た!追っ手だ!)
怒号に気を取られ、外の方を振り返っていた為に、改めてジルの顔を見た時には既に彼は両目を固く閉じ、オリヴィエの腕の中で冷たくなっていた。
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