第31話
放課後、オリヴィエは学校の施錠を済ませ、帰り路についた。
いつもなら友人達が集まる例の酒場へと向かうのだが、今日はそんな気になれなかった。
何故だか人間の些細な声でさえも煩わしく、極めて耳障りに思えた。
オリヴィエは頭痛の治まらないまま、一人で頭を抱えながら逃げるように足速に酒場の前を通り抜けようとした。
しかし、オリヴィエが酒場を通り過ぎる前に聞きなれた声に引き止められてしまった。
「やあ、オリヴィエ!皆お前を待ってたんだぜ!」
パッと店の外へと出てきたのはニコラだった。
オリヴィエは内心で舌打ちをしつつ、ニコラへと振り返る。
「すまない、今日は気分がのらないから帰るよ、皆で楽しんで」
「おっ、おう…そうか…分かった…じゃあ、またな」
「ああ、すまない」
ニコラは振り返ったオリヴィエの顔を見るなり、少し驚いた様な、戸惑ったような顔をして、少し言葉を詰まらせながらオリヴィエへと片手を上げて、そそくさと歩き去っていくオリヴィエの後ろ姿を見送った。
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