第25話
「それなら俺がここに来て良かった、一緒に逃げよう」
『………ダメよ、私はここから出られないの』
オリヴィエは、無意識に彼女へと差し伸べた手をゆっくりと引っ込めながら「どうして?」と少女を見つめる。
陶器のように真っ白な肌と、控えめな薄い唇。
そして見れば見るほどに惹き付けられてしまう赤い瞳。
オリヴィエは恐ろしいほど美しい少女の姿に背筋にゾクゾクと寒気が走るのを感じていた。
『……外は危険だわ』
「危険?化け物のいるここよりかい?」
『そうね……私にはそう思えるわ…。それに、今までここに居て化け物を私は見たことがないし、大丈夫だと思うの。だから私のことは心配しないで、貴方だけ逃げて?』
まるでオリヴィエを突き放すような少女の言葉に、オリヴィエは唇を噛んだ。
何故か彼はことの時、何がなんでもこの少女を連れ帰りたいと強く思っていた。
自分がこのままここを立ち去れば、次に訪れた何者かに彼女を奪われてしまうかもしれないという焦燥感がいつの間にかオリヴィエの身体中に蔓延し、ぐるぐると渦巻いていた。
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