第8話

「やぁ、オリヴィエ。入ってもいいかい?同僚から良いワインを貰ったから、君と飲もうと思って持ってきたんだ」



「あ…ジル…えっと…今日は…」



オリヴィエは無意識に瞳を動かしてリビングの方を見た。



そんなオリヴィエの様子を察したジルは「分かった、今日は帰るよ。でもコレは受け取ってくれないか、中に居るレディーに振舞うには丁度いい品だ」と爽やかに微笑み、ワインをオリヴィエへと押し付けてきた。



「ジル…!そうじゃないんだ、彼女は!」



「オリヴィエさん、お客様ですか?でしたら私はこれで失礼します…遅くまでお邪魔してしまって申し訳ありませんでした。お話聞いて頂いてありがとうございました」



「セリーヌ、待ってくれ、まだ聞きたいことが…」



立ち去ろうとするセリーヌと、それを引き止めようとするオリヴィエ2人の会話を見て、どうやら2人はジルが最初に考えていた様な間柄では無いと察したジルは、



「いや、オリヴィエ、年頃の女性が恋人でもない男の家にこんな時間までとどまっていたら、変な噂がたちかねない。彼女の為にも今日は諦めるんだ」と諭し、2人はセリーヌを馬車へと乗せて家へと帰した。

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