第10話
翌日、野獣の腕の中で目を覚ましたジルコンは体を起こそうとしたが、自分の腰を野獣にガッシリと抱き込まれていることに気が付いた。
こうして野獣に抱かれているお陰で、ジルコンは毎朝寒さによって目を覚ますことはなく、まるで自分が野獣によって守られている様な幸せな感覚に浸れた。
(もう少しこのまま…)
そしてジルコンが途中まで起き上がった体を再び温かな野獣の腕の中へと戻ろうとモゾモゾと動くと、野獣はすぐに目を開いた。
【よく眠れたか?】
「!は、はい…!」
目の不自由なジルコンは、野獣の目が開いていたことに気が付かず、声を聞いてはじめてそのことを理解した。
「お、おはようございます…」
【おはよう、すぐに食事にしよう。着替えて下りて来なさい】
「…分かりました」
毎朝のことながら、恥ずかしそうに顔を赤らめながら俯き、ぶっきらぼうに返事をするジルコンに、野獣はふっと笑みを零した。
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