第2話
「…………」
野獣は一瞬、体の全ての動きを止めたが、ただ死体が転がっているだけだと思い、再び前を向き、歩き始めようとした。
しかしその時、再び視界の端に銀色の煌めきが走り、よく通る少年の声が森中に響いた。
『お前の月、まだ生きてるぞ?』
野獣が驚いて声の方を振り返ると、そこには高い木の上に頬杖をついて座り、一身に月明かりを受けた少年が傲慢な笑みを浮かべていた。
【何しに来た、魔法使い】
野獣は地の底から響くような低い声を出し、木の上の少年を見上げる。
『なにも?ただお前に教えてやろうと思ってさ。僕は完璧だからな』
【………私になにを教えるって?】
『月だよ、お前も分かってるだろ。まぁいいや、月を掴むも掴まないもお前の自由だ。じゃあな』
少年はそう言うと立ち上がり、ラピスラズリのように輝く短い髪をかきあげ、最後に自信に満ち溢れた金色の瞳を細めると野獣に『ま、今逃したら"もう二度と"ないけどな』
と傲慢に微笑み、銀色の光の粒となって消えた。
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