第10話
桃を寝かしつけ、リビングへと戻った父親は無意識に今日自分が娘へのプレゼントとして持って帰ってきた白い猫のぬいぐるみの姿を探していた。
「?あなたどうしたの?」
挙動不審な夫に、妻が首を傾げた時、インターホンが鳴り響いた。
「こんな時間に誰だ?」
「さぁ…」
夫婦はお互いに眉をひそめながらも、夫の方が応える。
「はい」
マイクをONにしてカメラを見ると、そこには白髪の人物が立っていた。
(?老人…?いやそれにしてはガタイが良い…)
『夜分遅くにすいません、こちらに僕の恋人がお邪魔していると伺ったもので。迎えに来たのですが』
(恋人…?なんの話だ…)
「あなた…変な人みたいだし、相手にしない方が良いんじゃない…?」
妻が不安そうに夫の肩に手を置く。
すると、外の人物はその声が聞こえていたのだろうか、『お宅に上がりたい訳ではないのです。どうやらお邪魔しているのはお宅ではなく、車の中のようで…。一度確かめさせて頂けませんか』と一層明るい声を出した。
「い、いや…しかし…私は貴方の恋人など知りませんから…私の車に乗っている訳が…」
どんどんと気味が悪くなってきた夫婦がマイクとカメラを切ろうとした時、外の人物はカメラに向かって白い塊を映し出してきた。
『こんな感じの見た目なのですが』
「え!あなた、このぬいぐるみって…」
夫は妻の声に触発された様に最後にマイクに向かって「確かめますから、悪いですが家から離れて貰えますか」と言い捨てると、
急いで家を飛び出し、車へと向かった。
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