夜について考えてない?
@merutaosamu
第1話
暗く、静寂に包まれた深い夜は気持ちが落ち込みやすい。情緒が安定しにくい。
ここを抜け出す、活路が欲しい
俺も夜更かしを謳いたい。この夜を、この今夜だけを謳歌し、満喫したい。
その為の活路はすぐそこにあるようで、暗く深く閉ざされている。
抜け出せばすぐそこで待っている月明かりは、ひとつの厚い扉に隔たれ、俺と外界とを隔絶した。
あぁ、俺はなんて無力で臆病なのだろうか。
俺はここから抜け出す勇気すらない。
あの扉を開けば俺は自由に今夜を謳歌できるのに。
毎晩そう思う。毎晩そう思った末、仕方なく寝る。
目を瞑り、暗く深い闇に包まれた視界と共に、意識はだんだんと遠のいていき、気づけば日が昇っている。
また...始まった...。
日中のあの永遠にも感じるような時間。
夜は一瞬にして過ぎ去っていく。
こんなにも刹那に、こんなにも残酷に。
抜け出したい気持ちもある
勇気もあるさ.
でも、
今宵の様な日も 悪くないと感じてしまう 自分がいるんだ
過去に囚われ 何度もその時過ごした
日を追憶する形となる物を
愛してしまうんだ
実際先刻回顧録を書いていた自分に、時間に、厭忌を覚えないのさ。
この人格が自分を、自分自身が起こす行動に障壁を立ててくるんだ
此奴が消えない限り、その活路への扉は、一生閉ざされた儘だろうな.
あぁ、私を閉ざすものよ。
扉の番人よ。今宵だけ、今宵だけそこを退いてくれないか。
私はここを抜け出し、夜を謳い、朝まで外界を満喫し、1日を始めたい。
一日の始まりを、私は清々しい気分で迎えたい。私は今宵を迎え入れたいのだ。
あぁ、番人よ、そこを退け。私の勇気よ、今奮い立ち、私と外界とを隔てる障壁を乗り越えろ。
今宵やらなければまた幾重の夜をまた同じ気持ちで過ごす事になる。
それで私の心は満たされるのだろうか。
このまま現状に満足する自分で本当に良いのだろうか。
否、私は今宵、番人を、障壁をも越え、空高く羽ばたき、蝶のように美しくこの夜を、この静寂に包まれ、闇の中に指す一筋の美しく素晴らしい月明かりを、大海原を駆け巡るように飛び立ちたい。
今宵は宴だ、静寂に包まれたこの街も、闇に包まれた中、月明かりだけを頼りにしている森羅万象も、みな今宵だけ...今宵だけは、その強い気持ちで夜を明るく照らし、その美しい音を奏でる森羅万象で、祭りのように賑やかにしていこう。
私は、いつかまたこの夜が来ることを願い続けている。
この素晴らしい夜が、この賑やかな夜が、この明るい夜が。
誰かを、私を照らす希望の夜になる事を、私は切に願い続けている。
夜について考えてない? @merutaosamu
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