第14話

「くぅ〜〜!」



黒百合のジャケットと、ふわふわと浮き上がる気持ちも一緒に抱きしめていると、爽やかな風が吹き、脳内に一瞬、白川の煌めいた笑顔が浮かんだ。



その瞬間、何故か背筋をヒヤッと嫌な寒気を感じる。



(なんだろ…いまの…)



仮眠室の中で思わず固まったまま動かないでいると、外から後輩社員の声が聞こえてきた。



「かすみさぁ〜ん、体調大丈夫ですか?」



「あ、もう大丈夫!今行くから!」



かすみは仮眠室のハンガーに黒百合のジャケットを丁寧にかけると、最後にそっと寄り添い、一呼吸置いて離れた。

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