第13話

(どうしようかなって…なんだよ…)



かすみが目を覚ました時、かすみは満月専用の仮眠室で横になっていた。



「うわ!私がなんでここで!」



かすみは慌てて飛び起きると、簡易ベッドの上からスーツのジャケットが落ち、慌ててそれを拾い上げた瞬間、ふわりと甘い香りが漂い、このジャケットの持ち主が黒百合であることに気が付いたかすみは一人でカッと顔を赤くした。



黒百合は、かすみが入社当初から面倒を見てくれていた先輩社員であり、我社に流星の如く現れた超絶美少年の満月のマネージャーである。



この満月という少年、よく言えば「威風堂々」、「剛毅果断」。



悪く言えば「横行闊歩」、「気随気儘」と、どうにも扱い難い。



しかし彼がそんな振る舞いを許されているのは、この弱小な事務所にあった。



黒百合が唐突に連れてきたこの少年は目が合った人々全てを失神させてしまう程の不思議な美しさを持ち、モデルを始めてからSNSを中心に人気が爆発したのだ。



彼は言わば、この潰れかけの事務所を救った人物だった。



そんな彼を制御し、仕事を回す黒百合にかすみは密かに想いを寄せていた。

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