二章

第12話

かすみがハッと気が付くと、隣には白川が座っていた。



「?どうしたの?」



(夢…か…)



白川のキラキラとした顔を見て、自分が今夢の中にいるのだと自覚し、煉瓦造りの街並みを見渡しては、ほっと息をついた。



(今日は走ってない…な…)



「良い天気だね」



不思議そうに白川を見つめてしまっていたかすみに、白川が甘く微笑む。



「えっ!あ、はい…」



そう言えば、この夢の中はいつも美しい秋晴れで、どんよりと曇っていたり、雨が降っていたりすることは一度もないことに気が付いた。




「ここは安全だよ」



「?安全…?」



(なんの話だ?)



「そう…君の為の、君だけが見れる美しい世界。だけど、これ以上深く入ったら君は戻れなくなってしまう」



「…………だから、いつも諦めるように言うんですか?」




白川はかすみの問に、キャラメルの様な甘い瞳でかすみを見つめ、頷いた。



「だけど…どうしようかな…」



そして白川がそう言って困った様に微笑んだところで、かすみは夢から覚めてしまった。

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