第6話

かすみが秀と出会ったのはほんの一週間前だった。



かすみが偶然通りかかったコンビニと廃れたビルの間に倒れる男を見つけた。



それが秀だった。



かすみは一瞬戸惑ったが、苦しそうに呻き声を上げる秀を放っておけず、結局は家に連れて帰ってしまったのだ。



発見当時の秀は血だらけで、誰かに襲われたような傷が見てとれた為、かすみが救急車を呼ぼうとしたところ、秀によって止められてしまう。



「よ、けいなこと、すんな…。こっち来い…」



そう言って不気味に光る赤い瞳に見つめられ、気が付けばかすみは、秀に言われるがまま、自分から倒れる秀の上へと覆いかぶさっていた。



そして秀は自分の血で真っ赤に染まった手でかすみの首を押さえつけ、思いっ切りガブリと噛み付いた。



「いっ!?」



突然の痛みに、かすみは目を見開いたが、ジュルジュルと音を立てて血を吸われていく内に、体はどんどん怠く、重くなっていき、そのまま秀の上へと倒れこんでしまった。



「…………不味い」

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